互いに「好き」だから、全力で伴走できる。投資家らしくない投資家の挑戦。

2020.02.14

Full Commit Partnersはハンズオンを超えた圧倒的な現場支援を武器に、ファイナンスから、営業、事業開発、採用、事業戦略まで、VCという枠を越え、起業家にフルコミットしている。前編に続き、自身を「投資家という言葉が嫌いな投資家」と評する山田優大氏に、VCにかける思いを伺った。

なんでもやるのが良いかは分からないが、なんでも出来ることが大事

−VCで働き始めたきっかけを教えて下さい。

大学卒業後はグリー株式会社に入社し、社長室にてオリンピック協賛等のコーポレートブランディングや管理部門の予算管理等の業務に従事していました。オリンピックの東京招致や、それに関連したパートナーシップ契約をやっていたので、招致が決まった時には吉田沙保里さんや松岡修造さん等の著名な方と一緒に喜びを分かち合えました。

充実した日々でしたが、学生時代から「自分で事業を作れる人間になりたい」と思っていて、起業家と並走して事業を一緒につくるファンドがあると聞いたんです。そのファンドというのが、インキュベイトファンドです。

すぐに面接に行き、インキュベイトファンドのGeneral Partnerの村田さんとお話をさせて頂いたのですが、8時から2時間半ほど面接して、その後に飲みに行って、深夜1時半を回った頃に「採用!」と言われました。村田さんは僕の師匠ですし、今も家族ぐるみで仲良くさせてもらっています。

−独立前はどのような働き方をしていたのですか。

インキュベイトファンド時代は村田さんのもとでアソシエイトとして既存投資先のサポートと新規投資先の開拓に関わっていました。当時は誰よりも遅くまで会社に残って、とにかく仕事をしていました。僕にできることは何か、その可能性を最大限に広げるために投資先に出向いて、僕にできる仕事がないかを聞き、投資先の業務をするという、まさに今のフルコミットの原型となる働き方をしていました。

−どんな仕事にも挑戦するというのは怖さもあったかと思うのですが。

そうですね。最初は何もわからなかったので怖かったです。ただ今では、なんでもやってきたという自負から何も怖いことがなくなりまし、たまにやりすぎてしまって反省することもあるくらいです。

僕は、シード期の投資先の足りない部分を支援できる人間になりたかったので、自分自身でなんでも一通りできる状態を目指していましたが、やってみることで適正性が分かってくるということがあるので、若い方にもまずはなんでもやってみることをおすすめしますね。

−VCを立ち上げたときのことを教えてください。

Full Commit Partnersを立ち上げたタイミングは、インキュベイトに入社してから2年3ヶ月を経過した、28才の時でした。

先に独立している方たちが身近にいたので、これからは自分で意思決定するという心構えはできていたつもりだったのですが、実際にGeneral Partnerになると、企業に属していた時と比べて想像をはるかに超えたプレッシャーがありました。例えば、企業に属していれば、投資しなかった理由を聞かれたときに「投資委員会を通らなかったからです」と言えますよね。簡単に言うと他責にできるんです。これは本当に大きな違いで、General Partnerになったら逃げることが出来ない。

自分で意思決定をするためにGeneral Partnerになりたいと思っていたのにもかかわらず、General Partnerになったら慎重になりすぎてしまって、投資ができなくなってしまった期間もありました。特にシード期は何を基準に投資をしたらいいのかわからない。

それでも今はVCとして、起業家と同じリスクを背負って、同じ代表としてフルコミットできているので、独立してよかったと思いますね。

−起業家との関わり方はリード以外にありますか。

関わり方はすべてリードです。フルコミットでやっているからには、リードをとらなければ意味がないと思っています。
 
収益をどこの時点で上げるかとか、M&AによるExitを狙うかなどの議論が、VCと起業家の立場の違いから出てくることもあると思うのですが、そんなときでも対等に話せる関係でありたいです。

投資家は偉くない。一番リスクとって頑張っている起業家が一番偉い。

−今は山田さん以外にはどのような方がいらっしゃるんですか。

自分以外にインターン生が4人います。僕は、VCは野球でいうとコーチみたいなものだと思っているんです。野球のコーチをしている方で、野球をしたことがない人はいないですよね。なので、VCも一通りやりなさいと。投資先の業務を請け負い、自ら経験をすることで意見を言えるようにもなりますし、当事者意識が持てて、自信にもなる。VCになりたいんだったら投資先に行けと教えています。自分は評論家のような投資家にはなりたくないですし、インターン生にもなって欲しくないと思っているので、そこは徹底しています。
 
今はインターン生しかいないのですが、次の機会には誰かとパートナーシップでやりたいなと思っています。一番疲れるのは、難しい局面に当たった時のディスカッションなので、これ以上ファンドを大きくするかはまだわからないですが、同じ志を持ってやってくれる方がいたら嬉しいですね。

起業家、投資家、互いに「好き」になれるか

−最後にどんな起業家を支援したいか教えてください。

これは明確に定義していて、「想い・情熱がある人」・「コミットメント」・「地頭・推進力」・「知見」の4つの観点から投資判断をしています。

ただ、これら全ての要素が揃ってる人はいないと思ってるので、どれか一つの要素が飛び抜けていたり、バランスが取れているか等、起業家の良い部分を見るように意識をしています。もちろん、起業家の人間性も重要です。会話のキャッチボールのしやすさのようなコミュニケーションを取るうえでの相性や誠実さは確認するようにしています。

最終的な投資基準は、シンプルに自分がその起業家を好きになれるかです。シード期からなのでご一緒する期間も長いですし、お互いにこの人と一緒に歩んできて良かったと思える間柄で投資をしていきたいですね。