叫び続けてきた『イノベーション!』富士通×スタートアップで創る新しい未来
スタートアップ関連イベント登壇時の『イノベーション!』の掛け声でお馴染みの鈴木智裕(すずき ともひろ)さん。新卒入社した株式会社リコーでは、数多くの新規事業に最前線で携わる傍、スタートアップ企業のエバンジェリストとしても活動を続けてきた。その後、2018年からは組織力を活かしたオープンイノベーションを行うため、富士通株式会社へジョイン。現在は、FUJITSU ACCELERATORのメンターとして、大企業で新規事業に挑戦してきた経験を活かしつつ、富士通の様々なリソースを活用したスタートアップ支援を行なっている。
今回のインタビューでは、近年大きな注目を浴びるスタートアップ支援プログラム『アクセラレータープログラム』のサポートで活躍されている鈴木さんの素顔に迫った。
目次
『イノベーション』と叫び続けてきた5年間
鈴木さんと言えば、イベント登壇時の『イノベーション』の掛け声でお馴染みですが、どういった経緯でこのような掛け声を始められたのですか。
実は、2014年頃から私が登壇するイベントでは『イノベーション!』と叫び続けてきました。もともとは、リコーのオープンイノベーション推進室でスタートアップと新規事業に取り組んでいた際に、イベントの登壇依頼をいただくことがあっても、喋るネタがなかったことがきっかけでした。どういうことかと言いますと、大企業がスタートアップと一緒に新規事業に取り組むとなると、一般的にサービスがリリースされるまでに1年以上かかり、その期間は公の場ではオープンにできない情報がたくさんありました。そういった事情もあり、オープンにできる情報がなく話すことが少ないから、他の方法で会場を盛り上げるために『イノベーション!』と叫ぶようになったという経緯があります。
また、新規事業を流行らせるためには、色んな人に私の存在を知って頂くことが重要だと考えています。だから、『イノベーション!』と叫ぶことで、まずは私の存在を認知してもらい、新規事業をリリースした時に、皆さんに情報をお届けできる機会を作っておくことで、事業の成功のチャンスが広がります。つまり、事業を成功させる戦略の一つとして、自分自身のキャラクターにタグ付けをして目立つために叫び続けてきました。
現在では、5年間『イノベーション!』と叫び続けてきたことで、周りの方々からも『イノベーションの人』であったり、『イノベーション芸人』と言われることも多くなりましたね。
大企業の中で、創り続けてきた新規事業
大企業の中で新規事業に挑戦されたきたということですが、どのような事業を立ち上げてきたのでしょうか。
立ち上げた新規事業は多数あります。その一例として、マッチングサービスの新規事業開発を担当することになった際に、CtoCマッチングサイト「LocalFellows」を立ち上げました。これは来日する外国人と、ボランティアの通訳ガイドをマッチングさせるサービスです。このサービスを開発していた2014年当時は、国が外国人観光客のインバウンドを増やすことを公言した時期で、マーケットの成長が見込めたことに加え、実際の外国人観光客へのヒアリングを通じたサービスの仮説検証の段階で「これはいけそうだ」という確信が持てたことを機にスタートを切りました。ローンチ後は大手メディアにも取り上げられ順調にサービスは普及していきました。
リコーではオープンイノベーション推進室に在籍をしていましたので、スタートアップと一緒に数々の新規事業に挑戦してきました。世の中にリリースできたものもありますが、リリースでできずに終わってしまったものも数多くあります。リリースに成功したもの中には、株式会社ヒトクセ様とのオープンイノベーションを通じて開発した360度画像を使ったインタラクティブなバナー広告「360度バナー広告」もあり、複写機メーカーであるリコーの広告事業への参入を実現させました。
スタートアップ側が使い倒す『富士通アクセラレータープログラム』に
そんな、スタートアップ業界で様々な新規事業に挑戦してきた鈴木さんが、現在注力されている「FUJITSU ACCELERATOR」について教えてください。
アクセラレータープログラム自体は、スタートアップの技術・製品と富士通の製品や技術力などのアセットを組み合わせて、世の中へ新たな価値を提供するためのプログラムです。スタートアップのお力を借りて、世の中にインパクトを与える新規事業を一緒に創造することを目指しています。
私自身は、スタートアップ連携のための専任チーム「FUJITSU ACCELERATOR」のメンターの一員として、プログラムを通じて繋がったスタートアップのご支援をさせて頂いてます。
スタートアップと富士通の協業検討の期間は3ヶ月間を1クールとして、スタート時には適切なゴール設計をスタートアップと行います。やはり、ご支援をさせていただくからには、スタートアップ側にはプログラムを使い倒して欲しいですし、 スタートアップ側が大企業(富士通)を使ってやるという気概を持って頂けると嬉しいと思っています。そのためにも、事前のゴール設定を一緒にさせていただくことで、お互いが同じベクトル向いてお仕事ができるようにすることが重要だと考えています。
正解が分からないからこそ、壁打ちの相手としてスタートアップ支援
鈴木さんご自身がメンターとしてスタートアップの経営者の方々とお仕事をするときは、どのような支援をされているのでしょうか。
ご支援をさせていただく際には、私自身が経営者に代わって何かを判断したり、「これをやった方が良いんじゃないか」という形でご提案をさせて頂くことはあまりありません。その一方で、私がこれまでに大企業で新規事業に立ち上げてきた経験を基に、支援先の状況に応じてお役に立てそうなところで支援をするというスタンスで臨んでいます。
例えば、私が新規事業を立ち上げた際にVCの担当者にプレゼンを何度もしてきましたので、「一般的にVC調達のときは、こんな資料を使ったら関心が引けますよ」であったり、「そのような話の展開だと、ここの部分の説明は伝わりにくいかもしれません」といった形でアドバイスをさせて頂くことは可能です。このようなアドバイスは、私自身が実際にVCの方々を相手に説明をした時に上手く伝わらずに躓いてしまった失敗談などがベースにあります。
ただ、このようなアドバイスは、それが絶対に正しいという保証はないので、あくまで一般論の範囲内だと思っています。そのため、「一般的には〜だけど、〇〇様ご自身はどのように考えていますか?」とこちらから質問をさせて頂くことで、壁打ちの相手を務めることも多々あります。支援先のスタートアップの経営者のみなさまは、その領域のプロフェッショナルで優秀な方々です。そういった方々を相手に私自身がバリューを発揮できるのは、壁打ちの相手を務めることだと思っています。その過程で何かお役に立てることが見つかった際には全力でお手伝いをさせていただきます。私の直感を基に社内外の人を紹介させて頂くこともありますし、事業を説明する時に上手く伝わらない言語化しずらい部分を一緒に考えることもありますね。
何回でも挑戦する気概、心中できるチームが協業を成功に導く
ご支援のお話に関連して、富士通とスタートアップの協業が上手くいくケースにはどのような特徴があると考えていますか。
協業が上手くいく事例としては、「このメンバーで一緒に挑戦して、もしダメでもしょうがない」って思えるようなチームであることが重要だと考えています。アイデアや細かい戦略は抜きにして、このチームのみんなと心中できると思えるくらいの関係性があれば協業は成功すると思います。VCが投資をする時にも、チームは必ず見るということを伺いますが、結局は心の底からこの人たちと一緒に事業をやりたいって思えることが大事です。
他にも、協業が上手くいった先で事業化までたどり着くにはタイミングも重要になってきます。大企業の場合、時期や時流によって事業部の状況が流動的に変わっていきます。ある特定の分野の事業部が外部環境の変化で成長することもあれば、その逆も起こり得ます。だから、協業の過程で事業化に至るためには、スタートアップの成長と、事業部の状況がマッチするタイミングがポイントになってきます。そういった意味では、事業化に至らなかったとしてもタイミングが合わなかったと割り切って、何回でも挑戦する気概が重要です。
スタートアップ×富士通で新しい未来を
最後に鈴木さんご自身の今後の目標について教えてください。
私自身、大企業の中でたくさんの新規事業に挑戦してきた経験があります。そういった経験も踏まえた上で、大企業の中で新しい革新的なサービスを世に出す一番早い方法は、素晴らしいスタートアップの皆さんと一緒に事業を創ることだと思っています。
今後も新しい試みをスタートアップの皆さんと一緒にどんどん仕掛けていきたいですし、素早くサービスやプロダクトをリリースしていきたいです。私は、未来を予想できるわけではないですけど、スタートアップの皆さんと一緒に新しい未来を創ることはできると思っています。
最後に、スタートアップ×富士通で新しい未来を創っていきましょう、『イノベーション!』
FUJITSU ACCELERATOR 第9期
【応募ページ】
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【応募締め切り】
〆切2020年9月30日
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【協業事例】
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